公益社団法人日本建築積算協会・東海北陸支部

数量積算は匠の世界

皆様は積算における数量の算出方法は数学だと思いますか。当然長さや面積や重量を算出するのですから中学や高校で習った数学だと思いますし、私自身も現役学生なら簡単に算出する物だと思っていました。

たとえば台形の面積は(上辺+下辺)×高さ÷2ですので、その公式に数字を当てはめれば面積は出ます。その応用で寄せ棟の勾配屋根の面積はどうでしょうか、ある高校で積算概論の授業の際、その勾配付き屋根の面積を問題として出した所、10分たってもだれも答えが出ず、先生すら回答を出せない状況でした。その計算式を見たら、サイン・コサイン・タンジェントで面積を出そうとしていたのです。そうかこれが数学だなと思いました。皆様は多分こんなやり方はしていないと思います。当然屋根の平面積に屋根勾配の係数を乗じて算出すれば良いのです。この話をある方に話したところ、積算の数量拾いは職人技か匠の世界で数学ではないと言いました。たしかに早く正確に算出する事は職人技かもしれません。

そこで疑問に思うのですが、何故サイン・コサイン・タンジェントでなく勾配係数でいいのか、それは建築数量積算基準の目的にあるのではないでしょうか、つまり誰が拾ってもその数量の差が許容範囲を超えない計算方法の創出とあり、また総則には物差しを使っても良いとありますので、当然係数を利用して面積を出しても許されます。

教育委員会は、工業高校を主眼に置き先程の職人技で決して数学ではない数量拾いを先生に理解して頂くのが、まずやらなくてはいけない課題だと思います。

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