支部報 vol.37 2002.8
新資格制度とコスト
支部長 杉浦 譲治
協会の認定する新しい資格について検討する委員会が本年度発足し活発な会議が続いています。
現在協会で認定し、資格者の登録を義務付けている資格は皆様ご存知の「建築積算資格者」のみですが、協会では数年前よりプロジェクトマネージャーの養成講座として「コストスクール」を開講 し既に6期を重ねて100名近くの受講者に「プロジェクトマネージャーの称号を付与しています。
現在の「建築積算資格者」の資格は建築数量積算基準に基づいた正確な数量積算のできる人を対象にしていますが、会員の皆様の中にはそれぞれの職場において予定建築価格の算出を主業務にされている方(建設業にあっては受注コストの算出)も多く居られる状況も踏まえると同時に現資格の上位資格(仮の位置づけ)をつくり、「プロジェクトマネージャー」から「建築積算資格者」までの資格の体系を作り上げようとしています。
新資格の実施要領が皆様のお手元に届くまでにはまだ相当の日時を要するものと思われますが、ここで一度巷に氾濫している建築のコストについて考え方を整理することも必要かと思います。
私はもともと建築全体に一般論として通用するコストという概念はないという基本的な考えをもっています。
勿論建設業においては実行予算即生産原価つまりコストであり、発注者側に於いても発注価格は再生産のための原価(コスト)ではありますが、双方とも生産の現場で実際に発生している本来の意味の生産コストではありません。
たまたま(財)建築コスト管理システム研究所発行の季刊誌「建築コスト研究」に岩下法政大学名誉教授(当協会草創期の副会長も務められた)の一文が連載されています、ご本人の承諾はいただいていませんが、この雑誌を手にする機会は会員の皆様には少ないと思いますのでご紹介させていただきます。
「建築界でこれまで、また現在でも、多くの人がコストと称し、かつ、そのように理解しているコストというものの実態が、生産の現場で実際に発生している本来の意味での生産コストではなく、実は市場における取引価格に過ぎないという認識が重要なのである。」
わが国の建築の契約の主流が一式請負であるため建設業者の見積書も下請け業者の見積書もすべてリスクオンされた金額提示になっているため、より一層原価が見えてこない嫌いがあります。
発注条件の改善により、発注者も自らの原因或いは発注側に起因する事由により発生したリスクに対する費用はすべて支払うという状況ができればよりリスクは低減されると思います。
上記の一文は「CMとコスト」というテーマの中で書かれていますが、「コスト面でCMがもつ利点を、中間マージンをカットできる点にのみ求める考え方は妥当ではない。CMの真価は、CMだからこそ可能な、個々の直接生産段階のコストの把握を通じて、最も合理的、かつ効率的な発注条件の設定を行うことができるという点にある。」とも書かれています。
CM業務の中でリスクマネージメントが非常に重要な要素であるとされるのはこのような理由からでしょう。
先生の論文は非常に興味深いものが多いので次回引き続きご紹介したいと思います。(つづく)
(※文中赤字は引用文です。)
平成14年度東海北陸支部・通常総会の報告
名
1)日 時/平成14年4月22日(月) 16:00~17:00
2)会 場/昭和ビル 9階ホール 名古屋市中区栄4-3-26
3)出席者/出席者33名 委任状188名 計221名
16時定刻、河邉事務局長より平成14年度通常総会の司会挨拶を受け、続いて_谷副支部長からの開会の辞で支部通常総会は始まりました。
次に杉浦支部長の開会挨拶がありました。
《支部長挨拶要旨》
昨年度の全国大会が成功裏に終ったことは、正会員並びに賛助会員の御協力の賜と、心より感謝を申し上げます。
全国大会のため支部事業はやや停滞気味であったが、岐阜県からの社会福祉施設設計審査業務に実績を挙げたことは特筆に価する。
平成14年度は設計審査事業の遂行と合わせて、データベースの構築などの事業に取り組みたい。
昨年度スタートした支部ホームページをより一層充実したものにしたい。
今年度の事業の大きな柱としてホームページを中心に事務の合理化と会員皆様のコミュニケーションを図ると共に、データベースの構築を図りたい。会員皆様の御協力をお願いします。
ここで国土交通省中部地方整備局営繕部長の挨拶(営繕積算調査官代読)を頂いた。
《支部長挨拶要旨》
建築を取り巻く環境の激しい変化の中にも、耐震関係での新技術・新工法の発展は顕著な一例である。 社会は改修、リニューアルにも急速に力を注いでいて計り知れない需要が予測されている。
今後はこれら改修のウエイトが相当高くなるだろう。
施策的には「新しい入札・契約方式」や「適化法」が新しく次々と打ち出され実施されている。
建築業界はこれら大波、荒波の中にあるが、これをどう乗り切るかは積算がポイントになる。
変化に対応した機動的な積算、精度の確保・向上が必要である。
ここで定款第26条による議決の必要定足数を確認し、支部規定第7条第1項の規定により、議長に杉浦支部長を指名。
議長挨拶後、出席状況報告を受け、支部通常総会の成立を宣言。引き続き議長より議事録署名者に潮田 春生氏と林 進氏の2名を指名。
ここから議案審議に入りました。
■ 第1号議案 平成13年度事業報告承認の件
■ 第2号議案 平成13年度収支決算及び監査報告承認の件
■ 第3号議案 平成14年度事業計画(案)に関する件
■ 第4号議案 平成14年度収支予算(案)に関する件
■ 第5号議案 その他
(議長から、その他の議案はない旨の報告)
以上4件の議案は、いずれも拍手多数で承認され、川辺副支部長の閉会の辞で平成14年度支部通常総会を無事終了しました。
平成14年度東海北陸支部・事業計画
総務・会員委員会
①協会に新しい魅力を創出し会勢拡大に努める
②各委員会との調整
③関係諸団体との技術交流を深め、友好を高めるための活動を行う
④会員・賛助会員へ情報提供、サービスの寄与及び親睦を図る事業を行う
⑤会員・賛助会員の名簿を作成し、PRする
広報委員会
①会員・賛助会員への情報提供誌として充実した支部報を継続して発行
②設計審査特別委員会と連携し、新しい知的財産としての会員の利用しやすいデータベースの構築を図る
③インターネットの活用を図る
(ア) ホームページの内容充実
(イ) 会員へのサービス向上
(ウ) 会員相互のコミュニケーションの場の提供
(エ) 支部事務業務の簡素化
講習・教育委員会
①各種研修会・講習会を積極的に実施する
②建築積算資格者更新講習会へ講師を派遣
③管内地方公共団体等から研修会の講師の派遣依頼要請に応えるために、講師の派遣を行う
④地方部会が実施する積算研修会を支援する
⑤一般建築技術者と建築積算資格者のレベルアップのため鉄骨講習会等の教育
⑥本部が計画する積算教育事業に関して支援する
⑦工業高校の高校生対象の積算教育への支援
資格制度委員会
本部が実施する建築積算資格者試験及び建築積算資格者更新講習事業を支援する
①建築積算資格者試験
一次試験(学科) 平成14年10月27日(日) 東海工業専門学校
二次試験(実技) 平成15年1月26日(日) 東海工業専門学校
②建築積算資格者更新講習会
名古屋会場:平成14年10月12日(土)愛知厚生年金会館
金沢会場:平成14年11月16日(土)石川県地場産業振興センター
静岡会場:平成14年12月14日(土) しずきんホール
地域連絡委員会
①既存の地方部会の育成と未設置の地方部会発足に向けての基盤づくりを進める
②地方部会の積算研修会を講習委員会と連携して実施する
設計審査特別委員会
①岐阜県補助事業の社会福祉施設建設(5億円以上)に伴う設計審査業務を公正且つ透明性の基、厳正に執行する。
②広報委員会と連携しインターネットの一層の活用を図る ・データベースを利用しやすい環境の整備
総務・会員委員会より
佐藤 佳久
平成13年度は、今年にぎわいを見せている加賀百万石まつりに先駆け、第11回全国大会を平成13年11月9日に古都金沢で開催し、年が変わった正月11日には名古屋国際ホテルにおいて、建築八団体共催の平成14年新年互礼会を積算協会が初の幹事団体となり開催され大変忙しい1年になりました。
総務・会員委員会としましても、支部役員のご好意によるナゴヤドームドラゴンズ観戦チケットの会員への抽選配布、例年行っていました現場見学会の継続的開催や、賛助会員の皆様との交流会、賛助会員へのサービスをどのように進めて行くか、検討課題がたくさんあります。
一つの案として、各種講習会開催案内の送付時に賛助会員の会社で取り扱っている商品パンフレットを同封することが支部役員会で了承されました。
東海北陸支部のホームページが開設されましたので、一般会員の皆様ならびに賛助会員の皆様にこんなところが見てみたいとか、こんなところにこういう建物があり現場見学を開催してもらえないかなど、ご意見、ご希望を掲示板に書き込みしていただけると幸いと存じます。
アクセスは積算協会本部の東海北陸支部をクリックしてください。一番早道です。
講習・教育委員会より
佐野 洋治
平成13年度は第11回全国大会開催もあり、講習教育委員会事業は最小限度にとどまりましたが、今年度はこれを挽回する意気込みで今年度最初の委員会に臨みました。
第1回が4月10日に、第2回が5月29日に開催され、ここで委員会事業の骨格がほぼ決まりました。
大きくは、4つの事業グループに分けることが出来ます。
最初のグループは「新基準によるわかりやすい積算」研修会です。
これは例年開催していました「積算初級研修会」よりもややグレードを上げた設定です。
開催日は6月の12日(RCコース)・17日(Sコース)・26日(仕上げコース)の三日間でした。
参加者は延べ15名で、一つ嬉しかったことは支部のホームページを見ての申し込みがあったとのことです。ホームページの活用は、今年度の支部事業計画にも盛り込まれている最重点施策です。
ホームページ委員会の活動に感謝するしだいです。
第2グループは、「国土交通省建築工事積算基準(平成13年基準)の解説」講習会です。
8月28日(水)に岐阜市内の「サンピア岐阜」で、9月18日(水)に静岡市内のJR東静岡駅前の「グランシップ」でそれぞれ開催されます。詳しくはホームページをご覧ください。
第3グループは例年開催しています「新基準による建築数量積算実技研修会」で、11月28日(木)・29日(金)の両日昭和ビル9階の会議室にて開催いたします。
最後の第4グループは平成11年度から続けて開催してまいりましたプロジェクトマネジャーへの道第4回「ライフサイクルコスト(LCC)の実践手法」です。 来年2月14日(金)頃を予定しています。
以上簡単ですが当委員会事業について紹介させていただきました。
今後の講習会案内につきましては支部のホームページを是非ご覧くださるようお願いするとともに、これら講習会に多数の会員の参加をお待ちしています。
「新基準によるわかりやすい積算」講習を終えて
小栗 裕重
「建築数量積算基準・同解説」も平成12年に改定され、早や2年が過ぎました。
積算に関する方々に、改定内容の周知及び同基準を理解していただくため、わかりやすい説明を目的としたRC躯体・鉄骨・仕上げの各コースで開催いたしました。
第1回としてRC躯体コースには設計事務所、建設会社の10名の方々が参加されました。
当初は積算に限りある程度建築数量積算基準を理解されている方を対象としていましたが、当日の参加者は積算経験の少ない方が大勢でしたので、初級に近い内容で講習会を進めました。
講習会の前半は基準・同解説を説明し、後半は建築積算テキストよりRC躯体の各部位の積算事例を題材として行い、積算業務での手法の汎用及び各部位との関係、積算のチェック方法、チェックし易くするための計算書の記入方法を説明しました。
事例をもとに進めるには時間が少なすぎ講師の一方的な説明となってしまいました。
自ら図面より拾い書きを作成しチェックすれば記憶に残るのではないだろうかと思います。
現実の積算は電算化され本格的なRC躯体積算はデータ入力が中心となり、計算・集計・仕分けは機械任せとなり、積算内容の説明を求められても答えられないことも想定できます。
参加者から「今は手拾いなどしませんね」と質問がありましたが、積算の基準を知らないと見積書の内容チェックや計算書の説明は出来ない。
講習会は積算のスピードアップでなく、参加者の積算スキルのアップを1つの目標として開講しているとのことで理解いただきました。
「建築技術職員基礎講座」の報告
西田 彰
愛知県建設技術研究所は、毎年この時期に県及び市町村の建築技術職員を対象に「基礎講座:公共建築」を開催しています。
当支部には、午後一番の90分を「建築積算の実務」という研修内容でいただいております。
今年は6月10日に開かれました。
私がお話をさせていただくようになって三度目になりますが、老若男女積算経験の有無にかかわらず(殆どの方は未経験)、皆さんそれぞれに役立つ物を職場に持って帰っていただきたいと、できる限り楽しくわかりやすくお話するよう考えております。
実際に数量積算をすることの無い方々ですので「恐持ての担当官になるためのチェックリスト」とか「聞くにはちょっと恥ずかしい誰もが知っている建築用語(横文字編)」「キリストから始まる積算の歴史」など、その中にもできる限り新鮮な話題を織り込んで興味を持って聞いていただけるよう考えております。
何故か、この日は必ずといってよいほど雨が降ります。
うっとうしくて食後の一番眠い時かも知れませんが、一番前で寝るのだけはやめて下さい。
今度はもっと面白いネタで迫りますから。
北陸地区に働く女性職員の紹介
有限会社 富山積算センター 篠田 奈々
私は、高校卒業後に建設会社に就職し、建築積算課に配属になりました。
始めのうちは、先輩の指示に従って作業を行なっていただけなので、積算を特に好きとは思っていませんでした。
あるとき、上司の方が、私達が積算した物件を見学に連れていってくださり、 図面から、自分が想像していた仕上がりと実際の仕上がりの違いや、現場の方の熱心な話しぶりから、私達の積算について、興味も湧き仕事に参画できている連体感を感じることがあり楽しくなってきました。
又、私は現場勤務という機会も与えてもらえ、その後の積算の仕事にも大きくプラスになったと思います。
その後、結婚を機に退職しましたが、(有)富山積算センターの開設と同時に職員番号第1号として所属することになりました。
そして、今は3人の子育て中ですが、2年ほど前から、自宅で積算をさせて頂く事も可能となり仕上げを主に担当しております。
今はパソコンやメールといった便利なものがあるので、図面の受け渡し以外はすべて自宅でおこなえます。家事・育児と仕事の両立は大変なこともありますが、会社や家族の協力のおかげもあって楽しく続けています。
さらに下の子がもう少し大きくなったら積算の資格を取得して、仕事の量を増やしていきたいと思っています。
これを機会に女性職員の皆さんよろしく連絡お願いします。
本庁舎(三重県庁)の耐震化工事
三重県総務局営繕チームマネージャー 小林 一彦
1.はじめに
本県は自然豊かな県土・ふるさとを「くに」としてとらえ限りあるこの資源のなかで、環境に配慮した行政と、タックスペイヤーの立場に立った「生活者起点」からの行政に取組み、行政システム改革を推進しています。
県有建築物については、平成10年度より3年間の「ハコ物」建設を凍結をしてきましたが、平成13年度の凍結解除に当たり、行政システム改革推進の一環として、これからの公共建築物はどうあるべきかを広く県民から意見を聴き、将来のファシリティマネジメント(FM)を見据えた、好ましい県有建築物のあり方として取り組んでいるところです。
こうした状況の中、今工事中の本庁舎耐震化工事は、設計・施工一括発注方式を採用し、全国的にも実施例の少ない居ながらにしての工事を、基礎下で免震する免震レトロフィットにより施工中であり、同時にFMによる本庁舎の執務空間の改善事業も併行して実施しておりますので簡単に紹介させていただきます。
2.耐震化の経緯
本県の本庁舎は、1964年(昭和39年)に建設された鉄骨鉄筋コンクリート造の地下1階、搭屋2階付きの地上8階建ての建物であります。
一時期古い庁舎の建替え機運の高まりなどから、平成6年に建替を踏まえた庁舎整備構想をたてましたが、平成7年に阪神・淡路大地震の発生を機に、新耐震設計基準(昭和56年)以前に建設された各地域機関の庁舎と共に耐震診断を行い、耐震性能が劣るとされた地域機関の庁舎と共に耐震補強の基本計画をたてております。
本庁舎は耐震性能を示す構造耐震指標・IS値が0.38と低く、地震にはきわめて脆弱なことが指摘され、基本計画では建物自体の強度をあげる補強方法で、柱を太くして耐震壁を40数枚近く施す計画で、改修後は本庁全体の有効執務面積が約1割近く減少することとなり、工事も長期間にわたるうえ仮庁舎の必要性が生じるなどの理由から、総工事費も相当高額になることが試算されておりました。
当時の財政難の状況のなかで、防災上の視点からも耐震化の必要性は理解しながら費用対効果が指摘され、他に耐震性能を向上させる方法がないか、FMを踏まえた最小投資で最大効果もたらす最適工法を検討した結果、居ながら工事で行なえる免震レトロフィットが最良であるとされ実施に至りました。
また、耐震壁で執務空間を細分し固定する補強工法では、将来を見据えたファシリティマネージメント計画に支障が出てくることも,この工法を採用した大きな要因でありました。
3.発注方法工事
居ながらにして工事をおこなう免震レトロフィットは、大手ゼネコン等の独自の技術を研究・開発していることが多いことから、発注に際して、本県では始めての設計・施行一括発注のデザインビルト(DB)方式によることとし、求めた性能は、東海地震・東南海地震以上の震度を考慮し、建物固有周期4秒以上の免震性能を条件に各社の免震工法の技術提案を受け入れ、価格競争による入札を行いました。
工事費は、免震レトロフィットに関する工事部分だけで約18億円で済むこととなり、老朽化したスチールサッシュの取り替え工事など他の工事も含め23億1千万円 で契約しました。工事に関しては、施工上の技術管理もさることながら、居ながら工
事の施行のため、庁舎への物品納入業者や各部局との調整が必要であり、何よりも県民のサービス低下につながらないよう工事をすることが最も重要となっています。
4.地質(地盤)について
建築物のどの場所で免震するか、免震する位置の検討ですが地下1階での中間免震では、機械室、電気室等が支障となり、地上1階では県民サービスに支障をきたすなどの問題が
ありましたが、三重県の本庁舎は、N値50以上の固結シルトの岩盤に直接基礎で支持されており、常水位が低く支持杭もないので作業性はきわめて良好であることから、基礎下に積層ゴムの免震材を設置する基礎下免震工法が最適であると判断されました。
5.工法の特徴
基礎下免震工法の工事である免震レトロフィットは、施工中でも万一の地震発生に耐える工法で施工する必要があります。
一斉に基礎下を掘削すると、一旦建物を支える仮受け材の設置が必要となりますが、建物の基礎が固結シルトの岩盤に直接支持されているので、柱一本ずつの基礎下に直接免震材を設置し建物荷重を受けて行くことで、仮受け材の設置 が省けることになります。
構造解析で検討を繰り返し、柱通りをトンネル状に必要最小限 の部分掘削し、まず手前の柱の下に免震材を直接設置後、確実に柱の荷重を受けたことを確認したら、次の柱へと掘削して奥へ進んでいきます。
北から南へ1つの柱通りを完了させたら、次の柱通りを繰り返していくのですが、 ④施工上の手順 支持地盤の岩盤を調査の上、間隔をおいて3通りのトン ネル掘削を同時に行うことで作業効率を上げています。基礎下の免震装置が完了したら、随時免震ピットの耐圧盤コンクリートを打設し、最後に建物周囲に空間を確保して擁壁を造って完成させていきます。
6.施工上の留意点
設備配管の埋設位置を位置を確認しながらの掘削や、管の切り回しなどに大変手間がかかる上、議会棟、厚生棟を渡り廊下で繋いでいるため、免震工法による揺れ(最大約45cm)に耐えうる渡り廊下に改修する必要がありますが、居ながらにしての工事であるので、本庁舎は勿論のこと、議会棟、厚生棟との連絡に支障を及ぼさないよう施工する必要があります。
また、万一の地震発生に注意を払い、施工中の建物を監視するため各柱に水を利用した レベルセンサーを設置し、24時間コンピューター管理でわずかな沈下やズレも見逃さな いよう監視しています。何と言っても、職員や県民一般 利用者の利便性を損なわないよう限細心の注意を払って施工することが最大の留意点であります。
□本庁舎の概要
所在地 三重県津市広明町13番地
敷地面積 32,363㎡
用途区域 近隣商業地域 準防火地域
構造規模 鉄筋コンクリート造地下1階・搭屋2階・地上8階建て、直接基礎
建築面積 2,768㎡ 述べ面積 23,128㎡
外部仕上げ 磁器タイル張り・一部コンクリート打ち放し仕上げ
建物の経過 竣工年月日:昭和39年4月 施行:(株)大林組
□本庁舎耐震化工事の概要
工 法 基礎下免震工法(免震レトロフィット)
施 工 大林・日本土建・東海土建特定建設工事共同企業体
工 期 平成13年10月9日~平成15年3月20日
発 注 設計施工一括発注方式(DB方式)
新事務局さん紹介
池谷 たず子
はじめまして。5月21日より事務局のお手伝いをさせていただくことになりました。池谷たず子と申します。 名古屋生まれの名古屋育ち、一宮市に嫁いで早いもので10年余りが過ぎました。
結婚当初は夏のカエルの大合唱で眠れない夜もありましたが、今ではカエルの合唱も秋の虫の鳴き声も子守唄のようなものになっています。 しかし、寒がりな私にとって、冬の雪の多いのには、少しばかり迷惑することもあります。
阪神タイガースと動物が大好きで、家族の他に10歳になるオス犬『太郎君』とハムスター10匹と金魚数匹が同居しています。 『太郎君』は決して賢く優秀な犬ではありませんが、永く一緒に生活していると可愛くてしょうがありません。散歩に出かけるのも人間を引っ張って行くほど元気でとても老犬とは思えないです。
最近は、ガーデニングにも興味がありベランダで花を育てています。まだ上手く作ることが出来ませんが、家庭菜園にも挑戦中です。 夕飯のおかずになるほど採れるとよいのですが、まだまだ夢のような話です。
こんな私ですが、事務局長やみなさんにご迷惑をかけないように頑張りたいと思います。今はいろいろと覚えることや戸惑うことも多いですが、よろしくお願いいたします。
編集後記
放送から早27年が過ぎ、先ごろ「俺たちの旅」のサウンドトラックCDが発売された。
当時は、オイルショック・ドルショックと、今のように揺れ動いていた時でもあった。
1985年には「俺たちの旅 十年目の再会」、1995年には「俺たちの旅 二十年目の選択」と放送された。
主人公と同じ時代を歩んできた。
そして今、この混沌たる時の流れの中で、2005年に向い「俺たちの旅 三十年目の…」自分のテーマを見つけたいものです。
また今年も暑い夏になりました。
2002年・盛夏
広報委員
植田 隆明
|
松本 利治
|
西田 彰
|
吉原 光二
|
松原 舜二郎
|
潮田 春生
|
松岡 重幸
|
勝野 徹
|